株式会社AMMC|BPR・管理部門再構築シリーズ Vol.5

売上が伸びている。社員も増えている。取引先も増え、新しい拠点や事業も立ち上がっている。

会社にとって喜ばしい成長局面ですが、その裏側で「管理部門だけが追いついていない」という状態が起きることがあります。

請求書が増えて経理担当者の残業が増える。月次決算が遅れる。社長しか判断できないことが増える。採用した人へ十分な引継ぎができない。システムは導入したものの、Excelや紙の作業が残り続ける。

こうした問題は、担当者の能力不足だけで起きるものではありません。会社の規模が変わったのに、業務プロセスや役割分担、システム、管理体制が以前のままになっていることが大きな原因です。

今回は、成長企業ほど管理部門が追いつかなくなる理由と、売上拡大に合わせて経理・管理部門をどう整えていくべきかを考えます。

会社の成長は「売上」だけではない

会社が成長すると、増えるのは売上だけではありません。受注件数、請求書、入金、支払い、経費精算、社員数、契約、固定資産、銀行取引、社内承認など、管理しなければならないものも同時に増えていきます。

売上が2倍になったからといって、管理業務が単純に2倍になるとは限りません。取引パターンや例外処理、承認者、部門間調整が増え、業務の複雑さそのものが高まることがあります。

営業や製造などの前線部門は売上増加に合わせて増員されても、管理部門は「今の人数で何とかしてほしい」となりやすい。その結果、会社は成長しているのに、管理部門だけが小規模だった頃の体制を引きずることになります。

なぜ管理部門は後回しにされやすいのか

営業を一人増やせば売上増加という効果をイメージしやすい一方、経理や総務は直接売上をつくる部門ではありません。そのため、管理部門への投資は後回しになりがちです。

しかし、管理部門の役割は伝票を処理することだけではありません。正確な数字を早く把握し、資金を管理し、必要な情報を経営へ届け、会社が安全に成長できる土台をつくることにあります。

もう一つは「これまで何とか回ってきた」という経験です。売上3億円・社員20名のときに成立していた仕組みが、売上10億円・社員50名でも最適とは限りません。

さらに、経験豊富な担当者が増えた仕事を残業やExcel、個人の経験で吸収していると、問題が表面化しません。一見回っていても、その人が退職・休職した瞬間に、仕組みではなく個人の能力で回っていたことが分かります。

管理部門が追いつかなくなると起きる5つの問題

1.月次決算が遅くなる

取引量が増えているのに業務プロセスが変わらなければ、資料回収、仕訳入力、残高確認、部門間の確認が積み上がります。月次決算の遅れは単なる経理の問題ではなく、経営判断に使う数字が古くなるという経営上の問題です。

2.属人化が進む

忙しい会社ほど「説明している時間がないから自分でやった方が早い」となり、特定の担当者に業務が集中します。担当者しか知らない処理や例外、担当者のパソコンにしかない管理表が増え、成長が属人化を加速させます。

3.ミスや確認作業が増える

入力、転記、照合、承認などが複雑なまま件数だけ増えれば、ミスの可能性も確認工数も増えます。承認やExcel、チェック表を追加する対症療法が、さらに業務を複雑にすることもあります。

4.社長や管理職に判断が集中する

会社が小さい頃は社長がすべてを判断する方が速いこともあります。しかし成長後も承認権限や判断基準が整理されていなければ、社員が増えても判断は社長へ集中したままです。

5.経営に必要な数字が見えなくなる

経理担当者が日々の処理に追われると、「数字をつくること」で手一杯になり、「数字を経営に使うこと」まで手が回らなくなります。部門別採算、資金繰り、予実差異、投資余力など、本来必要な管理情報が不足します。

「人を増やす」だけでは解決しない

管理部門が忙しくなれば増員は有力な選択肢です。ただし、非効率な業務プロセスをそのままにして人だけ増やすと、非効率な仕事を複数人で行う組織になる可能性があります。

二重入力をなくす、不要な承認を見直す、紙の資料をデジタル化する、判断基準を明文化する、定型業務を外部へ切り出す。採用の前に「そもそもこの業務は必要か」「このやり方である必要があるか」を確認することが重要です。

システムを入れるだけでも解決しない

会計システムや経費精算システムは有効な手段ですが、現在の業務を整理しないまま導入すると、古い業務プロセスをそのままシステム上に再現してしまうことがあります。

紙からExcelへ、Excelからクラウドへ移しただけで、入力項目や承認手順、役割分担は以前と同じ。これでは「システム化したのに楽にならない」という状態になりかねません。システム導入は目的ではなく、業務をより良くするための手段です。

成長に合わせて経理・管理部門を再設計する5つのステップ

STEP1.業務を棚卸しする

現在どのような業務があり、誰が、いつ、どのように処理しているかを見える化します。日次・月次・年次業務だけでなく、例外処理や担当者しか知らない作業も対象にします。

STEP2.不要・重複・非効率な業務を見直す

棚卸しした業務について、本当に必要か、重複していないか、手作業である必要があるかを確認します。業務量が増える前提で処理方法を見直します。

STEP3.役割と判断基準を整理する

誰が作業し、誰が確認し、誰が判断するのかを明確にします。担当者の経験だけに依存する判断は可能な範囲でルール化し、社長や部長に集中している判断のうち権限移譲できるものを整理します。

STEP4.システムと外部リソースを組み合わせる

業務プロセスを整理したうえで、会計、経費精算、請求管理、ワークフローなどのシステム活用を検討します。定型業務を外部へ切り出し、社内人材を判断・改善・経営管理へ振り向ける方法もあります。

STEP5.経営に必要な管理機能をつくる

「処理する経理」から「経営を支える管理部門」へ進化させます。月次決算を早期化し、予実を比較し、資金繰りを予測し、必要な数字を経営へ届ける機能を整えます。

管理部門は「売上が増えてから」では遅い

担当者が退職し、月次決算が止まり、資金繰りが見えなくなってから再構築するより、成長の途中で整えておく方が負担は小さくなります。

今後さらに売上を伸ばす、新拠点を出す、社員を増やす、新規事業を始める会社ほど、その前に管理部門が成長に耐えられる状態かを確認したいところです。

売上拡大と管理部門の強化は、どちらか一方を選ぶ話ではありません。前線が成長するからこそ、それを支える仕組みも同時に成長させる必要があります。

BPRで目指すのは「会社が大きくなっても回る仕組み」

BPRは、今の仕事を少し効率化するだけではなく、会社が次の成長段階へ進んでも業務が回り続けるよう、業務プロセスそのものを見直す考え方です。

人や取引が増えても特定の人に依存しない。必要な数字が適切なタイミングで経営へ届く。担当者が変わっても業務が止まらない。会社が成長してから仕組みを追いつかせるのではなく、次の成長を見据えて先に仕組みを整えることが重要です。

まとめ|前線だけを強くしても、会社は強くならない

  • ・会社の成長に合わせて管理業務も増え、複雑になる
  • ・優秀な担当者の努力だけで吸収すると属人化が進む
  • ・増員の前に業務プロセスを見直す
  • ・システム導入の前に業務と役割を整理する
  • ・経理を「処理する部門」から「経営を支える部門」へ変えていく

会社を強くするために必要なのは、売上をつくる部門だけを強化することではありません。会社の成長を支えられる管理部門をつくることも、重要な経営投資です。

AMMCでは、財務・経理を中心とした業務棚卸し、業務プロセスの見直し、属人化の解消、役割分担、システム・外部リソースの活用を含めた管理部門の構築・再構築を支援しています。

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