株式会社AMMC|ドラゴンクエストに学ぶ経営 Vol.2
突然ですが、皆様は戦士になりたいですか?魔法使いですか?はたまた僧侶がいいですか?
ドラゴンクエストでは、さまざまな特徴を持った仲間とパーティを組み、冒険を進めていきます。攻撃が得意な仲間もいれば、回復や補助を得意とする仲間もいます。
では、もしパーティ全員が戦士だったらどうでしょう。
攻撃力は高そうです。敵をどんどん倒して、序盤はかなり気持ちよく進めるかもしれません。しかし、長い冒険になれば、回復や補助がなく、攻撃だけでは対応しにくい場面も出てきます。
会社経営も、これとよく似ています。営業だけ、現場だけ、あるいは一人のエースだけを強くしても、会社全体が強くなるとは限りません。
今回は、パーティ編成をヒントに、会社の役割分担と組織づくりについて考えてみます。
会社も一つの「パーティ」である
会社には、それぞれ異なる役割があります。
かなり単純化してドラゴンクエスト風に考えると、営業は前線で売上をつくる「戦士」、製造・現場は専門技術で価値を生み出す「武闘家」、経理・財務は数字や情報を使って経営を支える「魔法使い」、人事・総務は組織を支える「僧侶」といったイメージです。
もちろん、実際の仕事を職業にそのまま当てはめるものではありません。重要なのは、会社には役割の異なるメンバーが必要だということです。
強い組織とは、全員が同じ能力を持つ組織ではありません。異なる能力を持った人が、それぞれの役割を果たせる組織です。
「売上をつくる人」だけ増やせば会社は強くなる?
会社が成長するとき、最初に人を増やしたくなるのは営業や現場ではないでしょうか。売上を増やしたいから戦士を採用する。受注が増えたから製造やサービス提供の武闘家を増やす。これは自然な判断です。
一方、経理・財務・人事・総務である「魔法使い」「僧侶」などは直接売上をつくる部門ではないため、「管理部門はできるだけ少人数で」「もっと売上が増えてから整えればいい」と後回しにされることがあります。
会社が小さいうちは、それでも回ることがあります。しかし、売上、社員、取引先が増えれば、請求書も支払いも管理する数字も増えます。前線だけがレベルアップして、支える機能が昔のままでは、どこかでパーティ全体のバランスが崩れます。
必要なのは「最強の人材」より「必要な役割」
組織づくりで先に考えたいのは、「優秀な人が欲しい」ではなく、「会社にどんな役割が必要なのか」です。

例えば月次決算が遅れている会社で、優秀な経理経験者を一人採用しても、本当の原因が業務分担の曖昧さ、資料回収ルールの不在、二重入力、複雑な承認フローにあるなら、その人が問題を抱え込むだけになる可能性があります。
必要なのは、まず仕事を整理し、そのうえで誰が何を担うべきかを決めることです。パーティ編成でも、強い仲間を順番に入れれば完成するわけではありません。何が足りないのかを考えて仲間を選ぶはずです。会社の組織設計も同じです。
社長が全部の職業を兼任していませんか?
中小企業では、「勇者社長一人が全部やっているパーティ」も珍しくありません。

営業も社長。大口顧客との交渉も社長。採用の最終判断も社長。銀行対応も社長。支払いの承認も社長。経営数字の確認も社長。トラブルが起きたら、もちろん社長。
もはや勇者というより、戦士・魔法使い・僧侶・商人を全部兼任している状態です。
創業期や小規模な会社では、経営者が複数の役割を担う方が速いこともあります。問題は、会社が成長してもその状態が変わらないことです。
社員が増えているのに重要な判断はすべて社長。社長が忙しくなると社内の仕事も止まる。これでは会社が大きくなるほど、社長自身が組織のボトルネックになってしまいます。
会社が成長すると「パーティ編成」も変える必要がある
ゲームでは、冒険の進み具合や敵の特徴に応じて、装備や戦い方、パーティの役割を見直します。会社も同じで、創業時に最適だった組織が、会社の成長後も最適とは限りません。
取引量が増えれば組織体制を見直す必要があります。社員が増えれば人事・労務の仕組みが必要になります。投資額や借入が増えれば、資金管理や財務機能の重要性も高まります。
「昔からこの担当者がやっているから」「今まで問題なかったから」ではなく、現在の会社規模とこれから目指す会社に必要な役割を考えることが重要です。
まずは「誰が何をしているか」を見える化する
組織の役割を見直すとき、いきなり組織図を書き換えたり、新しい人を採用したりする必要はありません。まずは現在の業務と役割を棚卸しします。
- ・どんな業務があるのか
- ・現在は誰が担当しているのか
- ・誰が判断・承認しているのか
- ・特定の人に集中している仕事はないか
- ・本来その人がやらなくてもよい仕事はないか
- ・会社の成長に対して不足している役割はないか
整理すると、「社長に判断が集中している」「経理担当者に業務が集中している」「営業管理をする人がいない」「数字を経営に活かす役割がない」といった課題が見えてきます。
必要な役割が見えてから、人を採用するのか、既存社員へ任せるのか、システム化するのか、外部リソースを活用するのかを考えます。
役割分担とは「仕事を押し付けること」ではない
役割分担は、「誰がこの仕事をやるか」を決めるだけではありません。実施者だけでなく、判断者や承認者まで含めて整理することが重要です。
誰が作業し、誰が確認し、誰が最終判断するのか。この線引きが曖昧だと仕事は特定の人へ集中しやすくなります。逆に役割が明確になれば、社員は自分で判断できる範囲が分かり、必要以上に社長へ確認することも減ります。
役割分担は人を縛るためではなく、それぞれが自分の役割を果たしやすくするための仕組みです。
BPRは「会社のパーティ編成」を見直すことでもある
AMMCが支援するBPR・管理部門構築/再構築では、単に作業時間を短縮することだけを目的にしていません。
業務を棚卸しし、不要な作業を減らし、業務フローを標準化し、誰が何を担うのかを整理します。そのうえで必要に応じてシステムや外部リソースを活用します。
経理担当者が本来やる必要のない仕事を抱えていれば切り分ける。社長に集中している判断を移せるなら権限を整理する。社内に置く必要がない定型業務なら外部リソースを使う。
これは今いる仲間を否定することではありません。それぞれの人が、本来力を発揮すべき仕事に集中できるようにパーティ編成を整えることです。
強い会社は「全員戦士」ではない
会社を強くしようとすると、つい「もっと売れる営業を」「もっと仕事のできる人を」と考えたくなります。しかし、会社は一人で戦うゲームではありません。
営業が売上をつくり、現場が価値を提供し、経理・財務が数字を支え、人事・総務が組織を支える。そして経営者が、それぞれの役割が機能するよう全体を見る。それぞれの役割があるから、会社というパーティは長い冒険を続けられます。
経営者の仕事は、自分自身が最強の勇者になることでも、最強の戦士だけを集めることでもありません。
「この会社には、今どんな役割が必要なのか」「それぞれの仲間が、本来の力を発揮できるパーティになっているか」。会社が成長してきたときこそ、一度そんな視点で組織を見直してみてはいかがでしょうか。
まとめ|最強の一人より、強いパーティをつくる
会社の組織づくりで大切なのは、単純に優秀な人を増やすことではありません。会社に必要な役割を明確にし、業務や判断の集中を把握し、成長に合わせて役割分担を見直すことが重要です。
強い会社とは、最強の戦士がいる会社ではありません。それぞれの役割を理解した仲間が、自分の強みを発揮できる会社です。
AMMCでは、財務・経理を中心とした業務棚卸し、役割分担の見直し、属人化の解消、管理部門の構築・再構築を支援しています。「会社が大きくなったのに組織が昔のまま」「社長や特定の社員に仕事が集中している」といった課題がありましたら、お気軽にご相談ください。
※本記事は「ドラゴンクエスト」シリーズを題材に、組織づくり・マネジメントについて考察したAMMCの経営コラムです。ゲーム作品・商品等の権利は各権利者に帰属します。
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