株式会社AMMC|支援事例 Vol.1
こんにちは、株式会社AMMCです。
本記事では、当社がこれまでに携わった支援事例をご紹介します。
事例紹介の第1弾は、複数の子会社を持つ物流企業の経理部門再構築(BPR)です。
こちらの企業では、短期間に経理部門の複数名が退職することとなり、通常11営業日で行っていた月次決算の大幅な遅延と、残ったメンバーへの業務負荷の集中が懸念されていました。
そこで、単純に退職者の欠員を補充するのではなく、既存の業務プロセスそのものを見直すとともに、定型業務の一部を外部リソースへ移管。社内メンバーが本来担うべき業務へ集中できる体制へ再構築しました。
今回は、限られた引継ぎ期間の中でどのように業務を整理し、経理部門を正常化していったのか、その取り組みをご紹介します。
※本記事は、支援事例をもとに、企業が特定されないよう一部の情報・表現を調整して掲載しています。
1.会社概要
業種:物流業
売上規模:年商約450億円
従業員数:約2,500名(パート・アルバイト含む)
経理部スタッフ:6名(部長、課長、係長、スタッフ2名、パートスタッフ)
支援期間:約12か月
支援内容:経理部門再構築(BPR)
2.ご相談時の状況・課題
ご相談時、経理部門は6名体制で業務を行っていました。しかし、約2か月という短期間のうちに、課長とスタッフ2名が退職することとなりました。
もともと少人数で日々の経理業務から年次決算までを担っており、業務には余裕がありませんでした。その状態から一度に複数名が抜けることで、通常11営業日で行っていた月次決算の大幅な遅延と、残るメンバーへの業務負荷の増加が予想されました。
一方で、単純に残ったメンバーへ退職者の業務を振り分ければ解決する状況でもありませんでした。業務量そのものが多いうえ、担当者ごとの役割や判断基準が十分に共有されておらず、誰がどの業務をどこまで担当しているのか、部門全体で正確に把握できていなかったためです。
特に大きな課題だったのが、業務の属人化です。長期間にわたり同じ担当者が同じ業務を担っていたため、日常業務の手順だけでなく、過去の経緯や例外処理、判断の根拠なども個人の経験に依存していました。
なかでも課長が担当していた業務にはブラックボックス化しているものが多く、管理者である部長であっても詳細を把握できていない業務が複数存在していました。引継ぎ期間は約2か月しかなく、すべての業務を既存の社内人員だけで引き継ぐことは現実的ではありませんでした。
そこで、当面は月次決算のスケジュールを一時的に延長して業務継続を優先しつつ、退職者の業務をそのまま別の担当者へ引き継ぐのではなく、業務そのものを見直し、新たな経理体制へ移行する方針を取りました。
当時の主な課題
- ・最小限の人数で運営しており、退職前から業務が逼迫していた
- ・部長・課長が実務上の中心となっており、スタッフへの十分な権限移譲が進んでいなかった
- ・担当者以外には手順や判断基準が分からない業務が多数存在していた
- ・経理規程や支払基準など、部門・全社で判断を統一するためのルールが十分に整備されていなかった
- ・担当者ごとの判断で処理される業務があり、確認や例外対応が発生しやすかった
- ・長期間同じ担当業務を継続していたことから、十分な引継ぎ資料がなく、ノウハウの継承が難しい状態だった
- ・複数名の退職によって、従来の業務分担そのものを維持することが困難になっていた
3.なぜ問題が起きていたのか
今回の月次決算遅延は、複数名の退職によって突然発生したように見えます。しかし、業務を棚卸ししていくと、退職そのものが本質的な原因ではなく、それ以前から存在していた業務上・組織上の課題が、退職をきっかけに一気に表面化したものだと考えられました。
業務全体を統制する仕組みが不足していた
まず、経理部門全体の業務を俯瞰し、誰が・いつ・何を・どの基準で行うのかを管理する仕組みが十分ではありませんでした。
各担当者は自分の担当業務には精通している一方、他の担当者の業務までは詳細に把握していません。そのため、担当者がいる間は問題なく処理できても、退職や休職が発生すると、代替できる人がいない状態になっていました。
また、部門全体で業務を整理する機会が少なかったことから、似たような資料を複数人が作成するなど、重複している業務も見受けられました。
紙を前提とした業務が多く、処理に時間がかかっていた
当時は紙の書類を前提とした業務が多く、書類の受け渡し、保管、確認、承認といった工程に時間を要していました。
紙中心の運用では、担当者が書類を持っている間は他のメンバーが状況を確認しづらく、進捗管理も担当者本人に依存しやすくなります。また、確認のために書類を探す、承認者へ回付する、保管場所を確認するといった、会計処理そのものではない作業にも時間が取られていました。
人員が十分にいる間は吸収できていたこうした非効率も、複数名の退職によって大きな負担となりました。
承認ルートと判断基準が曖昧だった
もう一つの課題が、承認ルートや判断基準の曖昧さです。
どの金額まで誰が判断できるのか、イレギュラーな取引が発生した場合に誰へ確認するのか、支払可否を何に基づいて判断するのかといったルールが明確でないと、確認作業が管理職へ集中します。
結果として、部長や課長が実務上の「最終確認者」となり、多くの業務がそこで滞留しやすい構造になっていました。つまり、人員不足だけではなく、業務プロセスと権限設計そのものにもボトルネックが存在していたのです。
4.実施した支援内容
今回の支援では、「退職した3名分をそのまま補充する」という考え方ではなく、まず業務量そのものを減らし、残す業務を整理したうえで、新しい経理体制を構築することを重視しました。
(1)定型業務を切り出し、外部リソースを活用
最初に検討したのが、社内の経理メンバーが行う必要性の低い定型業務の切り出しです。
現金・預金の入出金データ入力、減価償却費や社会保険料の未払計上など毎月発生する定型的な月次決算データの入力、さらに月間約2,500件に及ぶ支払請求書のチェック・承認業務などについて、経理アウトソーシング会社への移管を進めました。
外部化の目的は、単なる人手不足の穴埋めではありません。社内で行う必要のない定型業務を外へ出すことで、経理部門の業務総量を削減し、社内メンバーが判断・管理・決算・他部署との調整といったコア業務へ集中できる環境を作ることを目的としました。
(2)業務を棚卸しし、プロセスを可視化
次に、現在行われている経理業務を棚卸しし、前後の関連業務も含めて業務フローを整理しました。
「誰が担当しているか」だけではなく、どこから情報が入り、どのような処理を行い、誰が確認・承認し、最終的にどこへ情報が渡るのかまで可視化することで、業務の全体像を把握できる状態を目指しました。
その過程で、重複している業務、現在は必要性が低くなっている業務、担当者の慣習として続けている業務なども検証しました。不要な業務は廃止・簡素化し、定型化できるものについては追加の外部化も検討・実施しました。
重要なのは、既存業務をそのまま別の人へ引き継がないことです。引継ぎ前に「そもそもこの業務は必要なのか」を確認することで、新しい体制へ不要な業務まで持ち込まないようにしました。
(3)実際に業務を動かしながら改善を継続
業務プロセスの再設計は、一度フローを作成して終わりではありません。実際に新しい体制で月次業務を動かすと、想定していなかった確認事項や、アウトソーシング先との役割分担が曖昧な部分が見つかります。
そこで、月次決算を実際に進めながら、業務の停滞箇所や確認事項を洗い出し、その都度プロセスを修正しました。
特に外部リソースを活用する場合、「外部へ任せれば終わり」ではなく、依頼方法、必要資料、期限、社内側の確認者、エラー発生時の対応などを明確にする必要があります。アウトソーシング先との連携方法についても継続的に見直し、社内外を一つの業務プロセスとして運営できるよう改善を重ねました。
(4)支払基準・債権管理などのルールを統一
属人化を減らすためには、業務手順だけでなく「何を基準に判断するのか」を統一する必要があります。
そこで、支払基準や債権管理に関するルールなどを整理し、担当者によって判断が変わらない体制づくりを進めました。また、個別対応として常態化していた例外処理についても見直し、本当に例外として扱う必要があるものなのかを検証しました。
例外を減らし、通常処理のルールを明確にすることで、担当者から管理職への確認件数を減らすとともに、担当者が変わっても一定の基準で処理できる環境を整えました。
(5)採用と並行して新しい業務分担を設計
外部化だけですべての業務を解決するのではなく、社内で担うべき業務については採用も並行して進めました。
ただし、新しい人材を従来の担当者の「後任」としてそのまま配置するのではなく、業務棚卸しと外部化を行った後の業務量をもとに、役割分担を再設計しました。
これにより、特定の担当者へ業務が集中する状態を避けながら、社内人材と外部リソースを組み合わせた新しい経理体制へ移行していきました。
5.支援後の変化
定型的な入力作業や大量の請求書確認・承認業務を外部へ移管したことで、社内経理メンバーが抱える業務量を削減することができました。その結果、限られた人員を月次決算、判断業務、管理業務など、社内で担うべき業務へ振り向けやすくなりました。
また、業務プロセスを可視化したことで、「誰が何を行っているのか」「どこで業務が止まっているのか」を部門内で確認できるようになり、特定の担当者だけが業務内容を把握している状態からの改善が進みました。
支払基準や債権管理などのルールを整理し、判断軸を明確にしたことも大きな変化です。担当者ごとの個別判断や管理職への確認が減り、日常業務を一定のルールに基づいて処理しやすくなりました。
さらに、外部リソースの活用と並行して採用を進め、新たな業務分担へ移行したことで、特定のメンバーへの業務集中を抑え、業務負荷の平準化を図りました。
こうした取り組みを継続した結果、複数名の退職によって大きく遅延することが懸念されていた月次決算についても、業務を安定して進められる体制へと移行しました。
今回の支援で重要だったのは、「退職した人数を採用で補う」ことだけを解決策にしなかった点です。業務そのものを減らし、標準化し、外部へ任せられる業務は外部化したうえで、社内に必要な役割を再設計したことで、従来よりも持続可能な経理体制を目指すことができました。
6.AMMCがこの事例からお伝えしたいこと
この事例は、特定の企業だけに起こる特殊な問題ではありません。
売上や従業員数が増加している企業では、事業の成長に対して管理部門の仕組みづくりが追いつかず、気づかないうちに特定の担当者へ業務や判断が集中していることがあります。
その状態でも、担当者が在籍している間は業務が回っているように見えます。しかし、退職や休職、異動などによってキーパーソンが突然抜けると、それまで表面化していなかった属人化や非効率な業務プロセスが一気に問題となります。
こうした状況で重要なのは、欠員が出たからといって、すぐに同じ人数を補充することだけを考えないことです。
まず、現在の業務を棚卸しし、「本当に必要な業務なのか」「社内で行う必要があるのか」「システムや外部リソースで代替できないか」「特定の人に判断が集中していないか」を確認する必要があります。
人が辞めたことをきっかけに業務が止まったのであれば、それは人員不足だけではなく、業務設計や組織設計を見直すタイミングでもあります。
経理部門の再構築では、単に人を増やすのではなく、業務を減らし、標準化し、役割を再設計することが重要です。そして、社員が本来担うべき判断・分析・管理といった業務へ集中できる状態を作ることが、管理部門を強くすることにつながります。
7.経理部門の属人化・業務遅延にお悩みの企業様へ
株式会社AMMCでは、経理・財務の実務経験をもとに、経理部門の業務棚卸し、業務プロセスの見直し、属人化の解消、アウトソーシングの活用、役割分担の再設計など、管理部門の再構築を支援しています。
「経理担当者が退職すると業務が止まってしまう」
「月次決算が遅く、経営数字をタイムリーに確認できない」
「業務量が増えているが、人を増やすだけでよいのか分からない」
「経理業務がブラックボックス化している」
このようなお悩みがある場合は、まず現在の業務を整理するところから始めてみてはいかがでしょうか。
経理部門の体制や業務プロセスについて課題を感じている企業様は、株式会社AMMCまでお気軽にご相談ください。
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