株式会社AMMC|BPR・管理部門再構築シリーズ Vol.7

「業務を効率化するために、新しいシステムを導入したい」

「紙やExcelでの管理をやめて、DXを進めたい」

管理部門の業務改善を考える際、このような話が出ることは少なくありません。

もちろん、クラウド会計、経費精算、請求書、勤怠、ワークフローなどのシステムは、うまく活用すれば業務効率を大きく改善できます。

しかし、システムを導入しただけで業務が改善するわけではありません。

むしろ、現在の非効率な業務を整理しないままシステムへ置き換えると、「非効率な業務がデジタルになっただけ」という状態になることがあります。

今回は、BPR・管理部門再構築シリーズ Vol.7として、システム導入やDXの前に整理しておきたい業務プロセスについて考えます。

システム導入=業務改善ではありません

新しいシステムを導入すると、それだけで会社が変わるように感じることがあります。

しかし、システムはあくまで業務を実行するための道具です。業務そのものに問題があれば、その問題まで自動的に解決してくれるわけではありません。

例えば、紙の申請書をそのまま電子申請に置き換えたとしても、承認者が5人必要な状態が変わらなければ、承認に時間がかかるという問題は残ります。

Excelへの二重入力を残したまま新しいシステムを導入すれば、「システムにも入力し、Excelにも入力する」という仕事が増える可能性すらあります。

大切なのは、「今の仕事をどうシステムに載せるか」ではなく、「そもそもこの仕事は必要なのか」「もっと簡単な流れにできないか」を先に考えることです。

悪い業務をシステム化すると、悪い業務が速くなる

前回のVol.6では、「悪い業務をそのままマニュアル化すると、悪い業務が標準化される」とお伝えしました。

システム化も同じです。

不要な承認、重複入力、意味の薄いチェック、担当者独自のルールなどを残したままシステム化すると、その業務がシステム上の正式なプロセスとして固定されてしまいます。

場合によっては、紙やExcelなら柔軟に変更できた業務が、システムの設定変更をしなければ変えられなくなり、以前より改善しにくくなることもあります。

だからこそ、システム導入の前にBPRが必要です。

DXの前に行いたい5つの整理

AMMCでは、システムを選ぶ前に、少なくとも次のような視点で業務を整理することが重要だと考えています。

1.現在の業務を棚卸しする

まず、誰が、いつ、何を、どのような方法で行っているのかを把握します。

請求、支払、経費精算、仕訳、入金消込、勤怠集計など、業務ごとに使用しているExcel、紙、メール、システムも確認します。

この段階では、理想の業務を書くのではなく、実際に行われている業務を可視化することが重要です。

2.不要な業務をなくす

次に、「この業務は本当に必要か」を考えます。

誰も見ていない資料を毎月作っていないか。同じ内容を複数のファイルへ転記していないか。昔のルールがそのまま残っていないか。

不要な業務を自動化するより、不要な業務そのものをなくした方が効果は大きくなります。

3.業務フローを簡素化する

必要な業務についても、承認やチェックの回数、入力箇所、担当者間の受け渡しを見直します。

特に管理部門では、「念のため」のチェックが積み重なり、誰も全体像を把握していないケースがあります。

リスクを抑えるために必要なチェックは残しながら、重複しているものは整理します。

4.ルールと判断基準を統一する

システムを入れても、人によって処理方法が違えばデータの品質は安定しません。

勘定科目、申請方法、承認条件、締切、例外処理などを整理し、会社としてのルールを明確にします。

システム導入は、こうしたルールを見直す良い機会でもあります。

5.その後でシステムを選ぶ

業務を整理してから、「この業務を実現するためには、どのシステムが必要か」を考えます。

有名なシステムだから、他社が使っているから、機能が多いから、という理由だけで選ぶのではありません。

自社が実現したい業務フローに合っているか、他のシステムと連携できるか、運用する社員が使えるか、といった視点で選定します。

「システムに業務を合わせる」という考え方も必要

一方で、すべての業務を自社独自のやり方に合わせてシステムへ作り込むことが正解とも限りません。

長年続けてきた自社独自の処理に合わせるため、追加開発や複雑な設定を重ねると、システム導入のコストが上がり、将来の変更もしにくくなります。

標準的なシステムの流れに合わせて、自社の業務を変えた方が合理的な場合もあります。

「今までこうしてきたから」ではなく、「これから会社として最もシンプルに回る方法は何か」という視点が必要です。

システムを増やしすぎる問題

DXを進める中で、別の問題が生まれることもあります。

経費精算はA、請求書はB、勤怠はC、会計はD、販売管理はE。各部門が個別に便利なシステムを導入した結果、システム間の連携ができず、最後はExcelでデータをつなぐというケースです。

一つひとつの業務は効率化されていても、会社全体で見るとかえって複雑になっていることがあります。

システム導入では、個別業務の便利さだけではなく、データがどこから入り、どこへ流れ、最終的に経営数字へどうつながるのかまで考えることが重要です。

経理DXで特に意識したい「データの入口」

経理業務では、会計ソフトだけを新しくしても、必ずしも月次決算が早くなるわけではありません。

会計データの前段階には、売上、請求、入金、仕入、支払、経費、給与、固定資産など、さまざまな情報があります。

これらが紙やExcel、メールに分散していれば、会計ソフトへ入力するまでに多くの手作業が発生します。

そのため、経理DXでは「どの会計ソフトを使うか」だけではなく、データが発生する入口から会計までの流れを設計することが重要です。

銀行口座、クレジットカード、請求書、経費精算、販売管理などを適切に連携できれば、手入力を減らし、経理担当者はチェックや分析に時間を使いやすくなります。

システム導入の目的は「人を減らすこと」だけではない

業務効率化というと、「何時間削減できるか」「何人減らせるか」という話になりがちです。

もちろん、作業時間を削減することは重要です。

しかし、システム化の本当の価値は、単純作業を減らし、人が判断や改善、分析といったより価値の高い仕事に時間を使えるようにすることにもあります。

例えば、経理担当者が毎日データ入力に追われている状態から、数字の異常を確認したり、資金繰りを予測したり、経営者へ情報を提供したりできる状態へ変える。

AMMCが考えるBPRでは、単なる作業時間の削減だけでなく、管理部門の役割そのものを高めることも重要な目的です。

システム導入を目的にしない

システム導入プロジェクトでは、いつの間にか「予定どおりシステムを稼働させること」がゴールになってしまうことがあります。

しかし、本来の目的はシステムを導入することではありません。

月次決算を早くしたい。入力ミスを減らしたい。承認を早くしたい。社員の負担を減らしたい。経営数字を早く見たい。

こうした経営・業務上の課題を解決するために、システムという手段を使います。

導入後には、本当に業務時間が減ったのか、処理が早くなったのか、ミスが減ったのかを確認し、必要に応じてさらに業務を見直すことが大切です。

まとめ|DXの前に、まず業務を整える

システムは、業務改善を進めるうえで非常に有効な道具です。

しかし、システムを入れること自体がBPRではありません。
  • ・現在の業務を棚卸しする
  • ・不要な業務をなくす
  • ・業務フローを簡素化する
  • ・ルールと判断基準を統一する
  • ・そのうえで、自社に合ったシステムを選ぶ

この順番を飛ばしてしまうと、非効率な業務をそのままデジタル化することになりかねません。

「どのシステムを入れるか」を考える前に、「どのような業務にしたいのか」を考える。

それが、DXを本当の業務改善につなげるための第一歩です。

AMMCでは、財務・経理を中心に、業務棚卸し、業務フローの再設計、役割分担、システム選定・導入、運用定着まで、管理部門の構築・再構築を支援しています。

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