株式会社AMMC|代表ブログ
私は、どちらかといえば「仕事は自分で考えて進めるもの」という考え方です。
分からないことがあれば、まず自分なりに調べる。どうすれば良いかを考える。そのうえで相談する。そうやって考える経験を重ねることで、自分で判断できる力が身につくと思っています。
この考え方自体は、今も変わっていません。
ただ、スタッフを持ち、さまざまなタイプの人と仕事をする中で、一つ大きく変わったことがあります。
それは、「自分で考えることを求める」のと、「全員を同じ方法で育てる」のは別の話だと考えるようになったことです。
「自分で考えろ」と言われて育った
私が新卒から若手の頃、仕事で分からないことを上司や先輩に聞きに行くと、「そんなの自分で考えろ」、「聞く前にまず考えろ」と言われることが多くありました。
そこで自分なりに考えて仕事を進めてみると、今度は少しの落ち度を強く非難される。「聞いても怒られる。自分でやって間違えても怒られる。では、どうすればいいのだろう」と感じたことを覚えています。そこで大きな学びを得たのは事実です。
但しここで、昔の指導方法の方が良かったと言いたいわけではありません。聞いても怒られ、自分で考えて行動しても怒られるような環境が、人を育てるためには間違いであると思っています。
一方で、その経験を通じて、分からないことをすぐに人へ聞くのではなく、まず自分で調べ、考え、仮説を持つ習慣が身についたのも事実です。
だからこそ、自分が部下を持つようになってからも、「できるだけ自分で考えて仕事ができるようになってほしい」と考えていました。
ところが、全員が同じように伸びるわけではなかった
実際にマネジメントをする立場になると、当然ながら部下にはさまざまなタイプがいます。
目的と大まかな方向性を伝えれば、自分で調べ、考え、どんどん仕事を進められる人もいます。こうした人に細かく指示を出しすぎると、かえって持ち味を消してしまうことがあります。
一方で、最初は一つひとつ丁寧に説明し、手順や考え方を具体的に伝えた方が力を発揮する人もいます。
以前の私であれば、後者に対して「もう少し自分で考えてほしい」と感じていたかもしれません。
しかし、そうした人と一緒に仕事をする中で、別の強みに気づくようになりました。
丁寧に教えることで光る人もいる
最初に仕事の内容やルールを丁寧に教える必要がある人でも、一度仕事を理解すると、非常に正確に業務を続けられることがあります。
決められた手順をきちんと守り、同じ仕事を手順通りに継続して行う。そして違和感があればその都度確認する。その積み重ねがあるからこそ、普段とのわずかな違いに気づけることもあります。
「いつもと数字が少し違う」「この取引だけ処理がいつもと違う」「この資料は普段と形式が違う」。
毎日の業務を正確に積み重ねている人だからこそ気づける、小さな異変があります。
自分でゼロから仕事を組み立てることが得意な人とは、違う種類の強みです。
そこで私は、「自立して仕事ができる人」という一つの物差しだけで社員を見るのではなく、それぞれがどのような場面で力を発揮するのかを見ることが大切なのではないかと考えるようになりました。
今でも、基本的には「自分で考えてほしい」
私は今でも、仕事では自分で考えることが大切だと思っています。
何でも上司に答えを求めるのではなく、自分なりの考えや仮説を持つ。経験を積むにつれて、自分で判断できる範囲を広げていく。これは仕事をするうえで重要なことだと思います。
ただし、そこへ到達するまでの道筋は、人によって違います。
最初から大きな裁量を渡した方が伸びる人もいれば、まず具体的な手順を教え、成功体験を積みながら少しずつ判断を任せた方が伸びる人もいます。
「自分で考えて」と突き放すことと、「自分で考えられる人に育てること」は同じではありません。
最終的なゴールは同じでも、そこまでの導き方まで同じにする必要はないのだと思います。
ゴールは変えず、マネジメントを変える
相手によってマネジメントを変えるというと、「人によって扱いを変えるのか」と感じるかもしれません。
私が考えているのは、求める成果や責任を人によって曖昧にすることではありません。
仕事として求めるゴールや最低限守るべきルールは明確にする。そのうえで、そこへ到達するための関わり方を変える、ということです。
ある人には「あなたはどう思う?」と問いかけて考えてもらう。別の人には、最初に手順を具体的に説明する。そして慣れてきたら、少しずつ本人に判断してもらう範囲を増やしていく。
同じスタッフだからといって、同じ説明の仕方、同じ任せ方、同じ育て方が最適とは限りません。
マネジメントする側も変わる必要がある
部下を持つと、「どうすればこの人を成長させられるか」と考えます。
もちろん本人が努力し、成長することは大切です。ただ、それだけではなく、マネジメントする側が自分のやり方を見直すことも必要なのだと思います。
「なぜこの人は自分で考えられないのだろう」と考えるだけではなく、「この人が自分で考えられるようになるには、今どのような支援や任せ方が必要なのだろう」と考えてみる。
そうすると、それまで弱みに見えていた部分の裏側に、その人ならではの強みが見えることがあります。
人を自分の理想の型にはめるのではなく、その人の強みをどう仕事や組織の中で活かすか。それもマネジメントの大切な役割ではないでしょうか。
会社づくりにも同じことが言える
これは、部下との一対一の関係だけではなく、組織づくりにもつながる話だと思っています。
全員が同じように考え、同じように判断し、同じように仕事を進める組織を目指す必要はありません。
企画や改善が得意な人、正確な運用が得意な人、人との調整が得意な人、異変に気づくことが得意な人。それぞれの強みがあります。
大切なのは、誰が優れているかを一つの物差しで決めることではなく、会社として必要な役割と、その人が力を発揮できる役割をできるだけ合わせていくことです。
そのためには、業務内容や役割、責任、判断できる範囲を整理することも必要になります。
人の強みを活かすことと、会社の仕組みを整えることは、別々の話ではないのだと思います。
まとめ|「自分で考える」を捨てたわけではない
私は今でも、「まず自分で考える」という姿勢は大切だと思っています。
ただ、マネジメントを経験する中で、「自分で考えて」と言うだけで人が育つわけではないことも分かりました。
自分で考える力を伸ばすために、最初から任せる方がよい人もいれば、丁寧に教えたうえで少しずつ任せた方が良い人もいます。
ゴールは変えない。しかし、そこまでの導き方は相手によって変える。
そして、その人に足りないものだけを見るのではなく、その人だからこそ発揮できる強みにも目を向ける。
若い頃の働き方をそのまま次の世代へ求めるのではなく、自分自身の経験も一つの材料として、目の前の相手に合ったマネジメントを考える。
部下のマネジメントを経験する中で、私自身も少しずつそう考えるようになりました。
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