みなさま、こんにちは。
本日は経営判断に非常に有効な強い味方、財務分析について考えていきたいと思います。
財務分析とは「貸借対照表(B/S)」「損益計算書(P/L)」などの決算書をもとに、会社の「安全性分析」「収益性分析」「生産性分析」など、「金額」ではなく「比率」に着目した経営分析手法として有益なものとなっています。
「安全性分析」、「収益性分析」、「生産性分析」はそれぞれ要約すると以下になります。
◆「安全性分析」 流動比率・当座比率、自己資本比率など、企業が安定的に経営できる資金があるかという、一言で「資金繰りが安定しているか」を短期的安定、長期的安定に着目した指標になります。
安全性を高めることで、倒産リスクを抑え、経営安定性を高めることができます。
◆「収益性分析」 粗利率(売上総利益率)や営業利益率、投下資本利益率(ROIC)や投資利益率(ROI)など、一言で「企業の利益獲得能力」を示す指標となります。
収益性を高めることで安全性を補完し、高い企業価値を得ることができます。
◆「生産性分析」 付加価値率や労働生産性など、一言で「投入した資源(ヒト、モノ、カネ、情報)が効率よく高い付加価値を生み出しているか」を示す指標となります。
少ない資源で高い付加価値を生み出せれば、高い収益性を得ることがきます。
このように、様々な比率に着目することで、現預金残高や利益額という「金額」ベースとは違った角度から財務諸表を読み解くことが可能になります。
例えば、収益性分析の代表格である「粗利率」について見ていきます。
粗利率は「粗利額(売上総利益額)」/「売上高」で計算されます。
①前期 売上1,500万円 粗利額330万円(粗利率22%)
②当期 売上2,000万円 粗利額400万円(粗利率20%)
「粗利額」で見ると②400万円が良い状態になりますが、「粗利率」で見ると①22%が良い状態と見ることができます。
この場合、翌期の戦略としてどのようなことが考えられるでしょうか。
①「当期は売上額、粗利額は伸びたけど、粗利率が下がってしまった。来期は仕入や製造原価を見直してみよう」
②「うちは立ち上げ間もなくて今はキャッシュが欲しいから、来期は粗利率20%を維持しながら売上増加のためにセールスを強化しよう」
このような戦略を立てやすくなるのではないでしょうか。
会社のステージ、経営状況により必要な判断は異なりますが、財務分析はこのように経営判断の一助になるはずです。
また、「安全性分析」、「収益性分析」、「生産性分析」の各種指標は相互補完関係にあることが多く、各指標を紐解いていくとさらに効果的な分析が可能になります。
①「安全性(資金繰り)が良くないから、キャッシュの安定性を高める為に収益性を見直してみよう」
②「収益性をもっと高めるために、生産性を見直してみよう」
このような活用方法も効果的になります。
本ブログでは数回に分けて「安全性分析」、「収益性分析」、「生産性分析」を取り上げていきます。
経営の中での様々な取捨選択をするために、それぞれのメリット・デメリット(リスク)を考慮し、会社の状況を適切に把握し更に飛躍するために、財務分析という手法を取り入れてみてはいかがでしょうか。